ADHD治療剤の有効性と副作用(7/5)

ADHD治療剤の有効性と副作用

 アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)が、7歳から9歳の600人近い子どもを追跡した大規模な研究が実施されました。行動療法(心理療法)、薬物療法、その併用を比較しました。14か月時点で薬物療法と併用では、他の方法よりも改善していましたが、この時点で薬物療法の4%に精神刺激薬の重篤な副作用による中止がありました。

 食欲不振、睡眠の問題、泣き叫ぶ、反復運動といったもので、さらに薬物療法では身長と体重の成長に遅れがありました。3年後では、ほとんどの人に改善が維持されていたものの、行動療法などの治療との差は見られなくなっていました。

 また、アメリカでは製薬会社による販売促進によって、5%の推定有病率を超える子供の15%がADHDの診断を受けており、投薬から明らかに恩恵を受ける子供の割合は1%を超えないと考えている大学教授もいます(デイヴィッド・ヒーリー「イギリス、バンガー大学精神医学教授」)。

 ADHD専用の治療薬として、コンサータ、ストラテラ、インチュニブ(規制区分:劇薬、処方箋医薬品)が承認されています。重篤な副作用として3種類とも、肝障害、自殺未遂、自殺念慮、攻撃性、敵意、反抗的行動、怒りを引き起こす、心臓発作、脳梗塞、突然死を引き起こす可能性があります。

 他の副作用は、以下のようになっていました。
コンサータ:総症例216例中、副作用は174例(80.6%)に認められた。主なものは食欲減退91例(42.1%)、不眠症40例(18.5%)、体重減少26例(12.0%)、頭痛18例(8.3%)、腹痛12例(5.6%)、悪心12例(5.6%)、チック11例(5.1%)、発熱11例(5.1%)
ストラテラ:総症例278例中、副作用は209例(75.2%)に認められた。主なものは頭痛(22.3%)、食欲減退(18.3%)、傾眠(14.0%)、腹痛(12.2%)、悪心(9.7%)
インチュニブ:総症例254例中,副作用は190例(74.8%)に認められた。主なものは傾眠146例(57.5%),血圧低下39例(15.4%),頭痛31例(12.2%)

 規制区分の欄に、「劇薬、処方箋医薬品」と書いてありました。コンサータは「向精神薬」が追加されていました。新しい薬のインチュニブの使用上の注意には、自殺念慮や自殺行為が現れることがあるので、患者の状態を注意深く観察することと書いてありました。

 私が子どもの頃にはADHDという言葉がなく、心の病とは無関係だった子どもたちが処方箋医薬品とはいえ、副作用が約75%から80%の確率で起きたり重篤な副作用が起きたりする可能性のある「劇薬」を服用するようになってしまいました。

(つづく)

〔参考資料〕フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」
医療用薬品:コンサータ、ストラテラ、インチュニブ

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