原爆裁判-原爆投下は国際法に違反する-(8/6)

 今日で広島に原爆が投下されて79回目の夏を迎えました。1945年8月6日8時15分17秒、原子爆弾がB-29から投下されました。相生橋よりやや東南の島病院付近高度役600メートルの上空で核分裂爆発を起こしました。

原子爆弾投下直後の巨大なキノコ雲

投下直後の惨状

 1945年(昭和20年)の8月から12月の間の被爆で死亡した戦闘員と非戦闘員は、9万人ないし12万人と推定されています。たった一つの原子爆弾でたいへん多くの人が犠牲になりました。原爆で犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。

原 爆 裁 判

 1955年、被爆者5名が、米国の原爆投下は国際法に違反するので、その受けた損害の賠償を日本政府に請求した裁判です。「賠償責任の追及」と「原爆使用の禁止」がこの裁判の当初の目的でした。

裁判官の三渕嘉子氏
<インターネットより引用>

<請求の理由>
 原爆投下は、戦闘員・非戦闘員たるを問わず無差別に殺傷するものであり、かつ広島・長崎は日本の戦力の核心地ではなかった。広域破壊力と特殊加害影響力は人類の滅亡をさえ予測せしめるものであるから国際法と相容れない。
<被告答弁>
 原子爆弾の投下と炸裂により多数人が殺傷されたことは認めるが、被害の結果が原告主張のとおりであるかどうか、及び原爆の性能などは知らない。原爆の使用は、日本の降伏を早め、交戦国双方の人命殺傷を防止する結果をもたらした。

<裁判所の判断>
 1963年12月7日、裁判長古関敏正、裁判官三淵嘉子(みぶちよしこ)、同高桑昭による判決が出されました。判決は、高野雄一、田畑茂二郎、安井郁の三人の国際法学者の鑑定を踏まえていました。なお、口頭弁論の全期日に関与したのは三淵嘉子さんだけだったそうです。その要旨は次のとおりです。

 米軍による広島・長崎への原爆投下は、国際法が要求する軍事目標主義に違反する。かつ原爆は非人道的兵器であるから、戦争に際して不必要な苦痛を与えてはならないとの国際法に違反する。

<核抑止論の克服>
 核兵器禁止条約が2021年に発効されました。核兵器禁止条約は「核兵器のいかなる使用も武力紛争に適用される国際法に違反する」として例外を認めていません。そして、その締約国会議は、⼈類は「世界的な核の破局」に近づいている。安全保障上の政策として、核抑⽌が永続し実施されることは、不拡散を損ない、核軍縮に向けた前進も妨害している」として「核抑止論」を批判しているのです。<大久保健一法律事務所ブログより引用>

 裁判官の三渕嘉子氏は、現在NHKの朝ドラで放送されている「虎に翼」の主人公のモデルです。戦後13年しか経っていない敗戦国の日本が「核兵器の使用は国際法に違反する」と判断したのですから、私はどんな圧力にも屈しない司法の独立性を守り通した勇気ある判断だと思いました。そして1963年の原爆裁判の判断が現在においても生きているという点において、事実と真摯に向き合うこと、人命は尊いものであるということ、が根底にあり、それが人類普遍の価値だからではないでしょうか。

 「虎に翼」で原爆裁判がどのように描かれるのか注視したいと思います。

現代に生きる「原爆裁判」(下田事件) 大久保賢一法律事務所

 

 

 

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