ベンゾジアゼピン系薬剤の各国の処方量比較(10/9)

 前回、学生や社会人として社会をけん引する世代において死因順位の第1位が自殺となっていることをお伝えしました。今回は向精神薬と自殺の因果関係を考察したいと思います。下のグラフは、ベンゾジアゼピン系薬剤の各国の処方量です。ベンゾジアゼピン系は抗不安薬(不安障害、パニック障害の他、あらゆる科で処方)、睡眠薬(不眠に処方)などに処方されています。

 

 「処方の実数」ですと、ベルギーの人口が約1千1百万人であるのと比較して、日本は約1億3千万人となりますので、日本での消費量の実数はベルギーの 10倍はありそうです。なぜこんなにも処方されるようになったのでしょう。

 メンドンという薬を服用していた方が「おくすり110番」でメンドンを調べると、

「気分をリラックスさせるお薬です。 不安や緊張感をやわらげたり、寝つきをよくします」とあり、 実際の処方例としては、心身症や不安神経症、パニック障害など 各種の不安障害を中心に(略)。 さらに、筋肉をほぐす作用があるので、緊張型頭痛や頸椎症、腰痛症、 肩こり、けいれん性の病気などに応用されることも多いです。 このように、この系統の薬は副作用が少なく安全性が高いこともあり、 各診療科でいろいろな病気に幅広く使われています。

 このようにして日本では、「気軽に処方され」て、「気軽に飲む」ベンゾジアゼピン系ですが、10年、20年、30年と飲み続けるうちに、本格的な依存となっていきます。そして、そのまま離脱症状(禁断症状)のため薬をやめられなくなっていきます。人によっては、最終的な断薬のゴールが自死であることは珍しくはないのです。

 2012年11月20日の読売新聞です。

抗不安薬依存 深刻に
医師が漫然処方/使用量 アメリカの6倍 欧米では、治療指針で処方期間を4週間以内とするなど、早くから対策が講じられた。 英国ではベンゾ系薬剤をやめるための専門施設もある。 ところが日本では、多くの精神科医や内科医が「飲み続けても安全」と、 漫然と使い続けた。国連の国際麻薬統制委員会の2010年報告では、 日本はベンゾ系睡眠薬の使用量が突出して多く、 同一人口当たりの使用量は米国の約6倍だ。 10年以上の服用者も多く、常用量依存患者は相当数に上ると見られる。

 ベンゾジアゼピン系は不安障害、神経症、パニック障害などに最初のうちは場合によっては劇的に効きます。初めのうちはウソのように不安感や不眠が消えます。「実際に効果がある」ことが「薬をやめることへの不安」につながっている面はあると思われます。しかし、効果は最初のうちだけで、次第に効かなくなってきます。そうなると、どうなるかというと、薬の量を増やしたり薬を変えたりするのです。これは抗うつ剤や抗精神病薬も同じです。そして、10年、20年、30年と飲み続けることになってしまいます。

ベンゾジアゼピン依存症 – Wikipedia には、

ベンゾジアゼピンへの依存および離脱は、自殺や自傷行為に結びついており、 特に若年層に顕著である。

という記述があります。

 私もかっては、精神科医の処方する薬を疑いもなく全面的に信じていました。しかし、実際に知っている人の状況を見たり、こうして調べたり聞いたりすることで、精神科・心療内科の薬物療法には一時的な効果はあってもそれは薬への依存の始まりであり、将来的にはたいへんな危険性が伴っているという考えに至りました。そして薬局が出す薬の説明書には一時的な効果のみが書かれていて、重篤な副作用は書かれていないところに大きな疑問を抱いています。

 こうした薬の乱用が、学生や社会人として社会をけん引する方々の自殺に結びついている可能性が非常に高いといえるのではないでしょうか。

参考資料:ponio20のブログ「いまここ」、Wikipedia

月ごとの投稿
うつ・不安症状私の生活