子どもの主体性を育む道徳の授業(その3)(10/25)

 資料を分析をする

 私は資料を分析するとき、以下のことに留意して分析します。
(1) 中心的な価値は何か、関連した価値は何か。
(2) 事実関係から誰の考えや気持ちを中心に考えていくか。
(3) 葛藤が起こる場面(多面的・多角的な見方ができる場面)はどこか、葛藤に至る前の場面はどこか、価値を自覚する場面はどこか。
(4) 資料の全部を提示するか、場面ごとに区切って提示し場面再現更生法(口演法)で進めるか。
(5) 実際の生活と比較して資料のできごとで不自然なことはないか。

 本時の資料「ぼくはMVP」(光文書院)です。原文のまま。

 上記の(1)から(5)に沿って分析したいと思います。
(1) 正直に言っていないことから、中心的価値は「正直・誠実」、関連価値は友達の喜んでいる姿から黙っていようと考えると「友情、信頼」、ボールが当たったら外野へ出ることから「規則の尊重」だと考えます。
(2) 児童の考えや気持ちを「ぼく」に反映させ自我関与していくことが、自己を見つめることになると考えます。
(3) 葛藤が起こる場面(多面的・多角的な場面)は試合に勝ってみんなが大喜びをしていた場面、葛藤に至る前の場面はかすったことがみんなは見えなかったらしい場面とただし君が「がんばらなくちゃ」といった場面、価値を自覚する場面は本資料をオープンエンドにし、自己決定をした後の児童の感想とします。
(4) 場面ごとに「ぼく」の思ったこと(考えや気持ち)を考える場面再現構成法(口演法)で進めることによりその時の状況をリアルに感じ取りやすくします。そして、みんなは大よろこびをしていたで終わりにします。全文を提示すると、最後の挿絵やぼくの考えから辛さばかりが強調され、自己を見つめれば見つめるほど言うことが困難になり、ずっと自責の念に駆られてしまう終わり方になってしまう可能性があると考えました。
(5) 人によっては最初はかすったかもしれないけれど、誰もかすったと言わない、夢中になってどこかへ吹き飛んでしまったところから、かすったことを忘れてしまっている、または本当はかすっていなかったのではないかと思ってしまう可能性もあるのではないかと考えます。人は自分の身を守るため都合の悪いことを忘れようとする心理が働きます。

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