岐阜の事件はごく一部の例外的な事件に過ぎないのでしょうか。「発達障害バブルの真相」(萬書房)の著者である米田倫康氏(市民の人権擁護の会日本支部代表世話役)のところには、痛ましい事例がいくつも報告されています。
米田倫康氏
米田氏は、「治療との因果関係を証明できるかどうかはさておき、命を失ったり、重篤な副作用に苦しめられたりする子どもたちも実際にいるのです。安易に診断を下さずに慎重に経過観察や鑑別検査をする医師がいる一方、チェックリスト診断や安易な投薬がはびこっていることを実感します」と、述べています。
以下はその実際の例です。
事例①:3歳児健診で発達障害の疑いありとされ、発達障害支援センターを経由して児童精神科にかかった3歳女児が、初診で広汎性発達障害と診断され、いきなりリスパダールとエビリファイ(いずれも抗精神病薬)を併用で処方された。親は副作用について一切説明を受けていなかった。
事例②:不登校気味だった小学校高学年男児が、何らの経過観察や鑑別検査もなく、初診ですぐに「アスペルガー障害」と診断され、初日からエビリファイ3mgが処方された(通常の開始量は1mg)。薬が強すぎたためにふらついて転倒し、救急車が呼ばれる大けがをした。
事例③:就学前から児童精神科にかかり、広汎性発達障害と診断されていた小学校低学年女児。リスパダール、エビリファイ、インヴェガ(いずれも抗精神病薬)、ストラテラ(ADHD薬)を同時に処方されていたが、親は副作用について説明を受けておらず、親類の薬剤師に指摘されてはじめて問題ある多剤処方であることが分かった。
事例④:小学校低学年女児が、診察中に椅子でくるくる回っていたというだけで、何らの経過観察や鑑別検査もなく、初診でADHDと診断され、いきなりストラテラが処方された。親は副作用について何らの説明を受けなかった。
事例⑤:学校から促されて精神科を受診した小学校男児が、初診10分の問診だけでADHDと診断され、適応外処方であるリスパダールが処方された。服用後1週間ほど男児の不調が続き、母親が「副作用」ではと主治医に尋ねたら、「そんなはずはない。飲ませ続けなさい」と言われ、対処してもらえなかった。
多くの精神科医は善人に見えますが…
上記の事例を見て、「極端だ」「こんなことはごく一部に過ぎない」と思われた人もいるかもしれません。しかし、これらの事例は、どこぞのわけの分からない怪しげなクリニックで起きたものではありません。これらは、国立大学病院や、児童相談所と連携している精神科病院や、国や自治体の審議会メンバーにも名を連ねる「権威」が運営する施設で起きたことなのです。つまり、学校や公的機関から紹介されるようなところですらこういう診断や根拠のない投薬が行われているのです。
ADHD治療薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、睡眠薬を処方されようとされるお医者さんにお願いします。伝えていない方は、ぜひ重要な基本的注意をご本人やご家族の方に正確に伝えてください。このことは添付文書に明記されています。 |
引用:「発達障害バブルの真相」(萬書房) 米田倫康 著