以前は患者さんと呼ばれていたのですが、最近は病院へ行くと「患者さま」と呼んでいることをよく耳にします。私が子どもの頃、町のお医者さんへ行くと看護師さんが「〇〇さ~ん」と親しく呼んでいました。ファミリー的な感じがして懐かしく思います。
なぜ「さん」から「さま」に変わったのでしょう。以前の「病気を診てやる」から医師と患者の関係から、病院経営が企業化して「患者はお客さま」という考え方に変わってきたことにあるようです。教育体制の進んだ大病院などの研修で、より敬意度の高い呼び方として「さま」と呼ぶことを奨められたと考えられます。そして、それが徐々に個人医院にまで広がってきたのではないでしょうか。
お客さま?おきゃくさん?
それでは、「さま」と「さん」はどう違うのでしょうか。一般的には、「さま」はあらたまった時に使うのに対して、「さん」には「さま」と比べると敬意だけではなく親しみの気持ちが含まれています。お隣さん、おいもさん等とよく言ったものです。
大辞林には、「さま」は人を表す名詞、または身分、居所などについて尊敬の意を表す。例として、〇〇さま、お母さま、殿さま、仏さまなどが挙げられています。一方、「さん」は「さま」が多様な形で使われるように変化した形だそうです。①人名、職名、などにつけて敬意を表す。〇〇さん、お父さん、課長さんなど。②体言につけて丁寧の意を表す。ご苦労さんなど。③動物名などにつけて親愛の意を表す。おさるさんなどとなっています。つまり、「さん」づけには、敬意+丁寧、親愛の情が込められているのです。
みなさま(さん)は上のイラストでレジの人になったつもりで呼んでみると、「お客さん」と呼びますか?それとも「お客さま」と呼びますか?
参照:「公認社団法人 日本電信電話ユーザ協会」