ある子どもの死(前編)(10/22)

 2012(平成24)年10月、岐阜で当時10歳の男児が突然死するという事件が起こりました。日本脳炎ワクチン接種直後に心肺停止になったことから、当初はワクチンが原因ではないかと騒がれました。ところが、男児には3種類の向精神薬が処方されており、うち2種類は併用禁忌(一緒に併用してはいけない)ということが判明したのです。

 広汎性発達障害と診断されていた男児は、当時エビリファイ(抗精神病薬)、オーラップ(自閉症に使われる抗精神病薬)、ジェイゾロフト(抗うつ薬)の3種類の向精神薬が同時に処方されていました。典型的なカクテル処方(単一薬効の薬を単剤で出すのではなく、睡眠薬+抗うつ薬のような複数の薬効の薬を一緒に出す処方)と言えます。

 このうちオーラップとジェイゾロフトは、併用した場合に心血管系に重篤な副作用が現れる危険性があるとして一緒に出すことは禁止されています。ところが、報道によると母親は「かかりつけ医を信頼しており、指示通りに飲ませていた。併用禁止とは知らなかった」(毎日新聞2012年11月1日夕刊)と話しました。

 一方、かかりつけ医であった児童精神科医は「問題の2つの薬の併用がいけないという指定があることは知っていた。あの薬が、処方した量で影響を与えるとは思えない。少量であれば安全という判断だ」(中日新聞2012年11月1日朝刊)と説明しています。

 この児童精神科医は禁止されていることを知っていてやったと主張しています。ただし、禁止されているというのはあくまで保険診療の範囲の話なのです。併用禁忌の薬を処方したからといって、ただちに何らかの刑事責任を問われるわけではありません。それよりも医師の処方権が上回るのです。ペナルティがあるとすれば、その分の治療に保険診療が認められなくなるぐらいなのです。

(つづく)

 ADHD治療薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、睡眠薬を処方されようとされるお医者さんにお願いします。伝えていない方は、ぜひ重要な基本的注意をご本人やご家族の方に正確に伝えてください。このことは添付文書に明記されています。

引用:「発達障害バブルの真相」(萬書房) 米田倫康 著

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