カウンセリングの新しい療法、ACT(アクト)の考え方を生かして(その6)(4/23)

 こんな時にこそ、今、豊かで充実した人生のために必要なことは何かを考え、実行する。

 相手や自分に対してネガティブな思考や感情が浮かんできた時、あまり気にならなければ、「こんな時にこそ、今、必要なことは何だろう。」と考えて、それを行動に移していけばよいと思います。

 

 しかし、自分や他者に対してネガティブな思考(【例】「(自分に対して)自分が感染したらどうしよう。」、「(相手に対して)何やってんだ。注意していなかったから感染したんだろう。」等)が頭から離れず、ネガティブな思考に囚われてしまう(フュージョンしてしまう)場合があります。このような時、自分で必要と考えたことを行動しずらくなります。

 フュージョンしてしまった時、次のように対処していきます。ネガティブな思考を聞こえるまま受け容れます。そして、意識的に「ラジオからいろいろな声が聞こえてくるなあ。」とネガティブな思考をラジオから聞こえてくる声に例え、客観的に自分のネガティブな思考を聞くようにします。

 聞こえてきてもスイッチを切らないようにします。切ってしまっても、またスイッチを入れてしまうでしょう。ネガティブな思考は人が身を守るために進化してきましたから。思考を聞いたら、消そうとせずに思考のための場所を作り、そこに居させます。そうすれば、思考に付きまとわれることがあっても行動は邪魔されず、自分の生活に集中することができます。他には、家の前を車(ネガティブな思考)が行ったり来たり通り過ぎていく様子に例えることもできます。楽しくいろいろなものに例えてみるとよいと思います。ネガティブな思考から離れる、ネガティブな思考を観察することを脱フュージョンといいます。

 脱フュージョンしながら、「今ここで、自分の必要なことをする、集中、集中。」と、意識を自分の豊かで充実した人生に向け、価値に沿った行動をしていきます。

 次回は、不安、恐怖、怒り等のネガティブな感情についてお伝えしたいと思います。

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