カウンセリングの新しい療法、ACT(アクト)の考え方を生かして(その10)(5/1)

マインドフルネス…意識的に柔軟でオープンで、そして好奇心を持って注意を向けて生きる技術

 これまで、豊かで充実した人生のために、「フュージョン」「脱フュージョン」「アクセプタンス」「思考を観察する」等のエクササイズ(練習)を通して、思考に囚われず、感情をあるがままにしておき、「今、ここで」価値に沿って必要なことをすることが大切だと、お伝えしてきました。

 上記のマインドフルネスには、「脱フュージョン」「アクセプタンス」「思考を観察する」が含まれています。マインドフルネスをもう少し詳しく見てみますと、
(1)思考に「巻き込まれる」のではなく、今、この瞬間、体験していることに気づく、あるいは注意を向ける。
(2)オープン(受け容れる)であることと好奇心を持った特別の態度も必要となる。特に、つらく受け容れがたい経験をしている時、逃げたり立ち向かったりするのではなく、心を開いて関心を向けるという選択肢もある。
(3)自分が体験していることに対して、柔軟性を持って様々な面に注意を向けたり、注意する範囲を広げたり集中させたりする。
ということです。

 私たちは現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のために、緊急事態宣言のもと不要不急の外出自粛、休業と、不自由な生活をしています。経済的にも痛手を負っています。そんな時、大勢で買い物をしている人たちを見ると、「自分は一人で来ているんだ。大勢で来るなよ」と人に対して怒りを覚えがちになったり、「経済的に大変だ。これからどうしよう」と不安になったりしがちになります。ストレスが溜まり、暴力的になる可能性も出てきます。新型コロナウィルスは人をも変えてしまう恐ろしさがあるように思います。

 つらく受け容れがたい経験をしている時、逃げたり立ち向かったりするのではなく、心を開いて関心を向け(思考や感情を観察し、あるがままにしておき、スペースを作り置いておく)、「今、ここで」できることに意識を向けて生活できたらと思っています。

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