健康な人が思い悩んでいる状態と重症のうつ病との違い(1/7)

 一般にうつ病の症状は、気が滅入る、悲しい、イライラする、疲れやすい、やる気が出ない、興味が湧かないなどで、このような症状があると、「自分はどうしようもない奴だ」といった無価値観、「申し訳ない」「自分のせいで迷惑をかけた」罪業念慮を抱き、「生きていてもしょうがない」といった厭世的(えんせいてき)な気分(希死念慮)に襲われがちです。眠れない、食べられない、頭痛、耳鳴り、めまい、下痢、便秘の繰り返しなどが起こる場合もあります。

 私(大西)のマインドは、やる気が出ない、申し訳ない、悲しい、イライラする等の考えや気持ちが、私によく言ってきます。また、大きな失敗をした時には、自分はどうしようもない奴だと言ってきた時もあります。上記の一般的なうつの症状は、生活していれば誰だって現れてくることがあります。そして自分はうつ病かもしれないと思い、精神科や心療内科へ行くと、案の定、「うつ病」と診断されてしまうケースがたいへん多いのです。

 重症のうつ病では、うつの症状が非常に強く現れます。口数も減れば、身ぶり・手ぶりも減り、表情も乏しくなり、思考や行動のテンポも遅くなって、何をするにも億劫(おっくう)になります。ひどくなると口もきけない、トイレにも行けない、靴下も脱げなくなります。

 何一つ自分では行う気力が失せてしまいます。身動き一つできない、指一本動かすにも大変な気力を要するほどの状態に陥ることもあります。精神科や心療内科へ行く気力さえ湧かないでしょう。ここまでくると自殺する意欲すら枯渇してしまいます。

「うつの8割に薬は無意味」より

 「重いうつ病は、健康な人が思い悩んでいる状態とは明らかに異なります。今日「うつ病」と診断されて精神科に紹介されてくる患者さんは、そのほとんどが、かつてならそうは診断されていなかった人ばかりです」と、井原医師は言っています。

 うつ病の概念は、井原医師の研修医当時とは比較にならないほど拡大し、その結果、「うつ病」の姿は輪郭不鮮明なものとなってしまったそうです(<図表1>参照)。

「うつの8割に薬は無意味」井原裕著 朝日新書より

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