引きこもっていた生活から目標を持って仕事を始めたМさん(その3)(3/20)

仕 事 を 始 め た М さ ん

 Мさんは初回のカウンセリングの時、花屋さんの仕事をしようか迷っている、と話していました。しかし、なかなか花屋さんの仕事をすることができませんでした。「いろいろと手に入れているあなたたちは、この私にまだ言うのか」といったマインドが聞こえてきて、そのマインドに「怖さ」を感じているため、その結果、人と会わないようにしているのです。

 いろいろ言ってくるマインドに対して、Мさんは脱フュージョンを理解してラジオから聞こえてくる声と考え、聞き流すようにしてきました。また「怖さ」対してはアクセプタンスで対処するようにしてきました。

 6回目のカウンセリングのとき、
「12月9日、朝6時から8時まで飼っている2匹の犬を散歩させた後、8時30分から22時まで花屋さんで仕事をしてきた。しかし、仕事内容が考えていたことと違っていたので1回だけで終りにした。人は自分のことをどう思っているのか、人の考えに対しての自分の批判的な考えなどが出てきた時は、脱フュージョンをしている。たくさんの妄想は『モノ化』している。」
といったお話がありました。

人生の価値を決め目標(ゴール)を設定する

誠実
余裕

 脱フュージョンとアクセプタンスで対処する方法を身に付けた後、Мさんの人生を充実させる価値について考えました。Мさんはこれまで花屋さんの仕事をしたい、心理学を勉強してカウンセラーになりたいと言っていました。そこで更に価値を明確にすることで、目標とするゴールに到達しやすくなると考えます。価値というのは誰にとっても有益でありすぐに実行でき充実感を感じ取ることができるその人の基本的な考え方です。Мさんは人生の価値を「誠実」「余裕」としました。

 その後、価値に基づいてゴールを設定していきました。短期のゴール(数日から数週間)、中期のゴール(数週間から数ヵ月)、長期のゴール(数ヵ月から数年)を明確にして取り組んでいくことにしました。

 9回目のカウンセリングのとき、
「昨年の12月末から仕事に行っている。花屋さん、清掃関係の仕事をしている。自分より年配の人にいろいろ指示され嫌な考えが浮かんでくるが、仕事のためと考えるようにしている。脱フュージョン、アクセプタンスを仕事をすることによって使うことができる。」
といったお話がありました。

インターネットより引用

 この時点で、仕事をするといった短期のゴールを達成しました。花屋さんの仕事を探す、カウンセリングの勉強のために学校に通うといった中期のゴールに向かっていくことを確認しました。また、一年後には車を持っている、静かな山間地帯で家を購入して犬と一緒に暮らす、と長期のゴールを楽しそうに話しました。

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  11回目のカウンセリングのとき、
「仕事に継続して行っている。花屋さんの面接に行ったが条件が合わずその花屋さんは断念した。引き続き花屋さんの仕事を探す。今まで人から自分がどう思われているのか、妄想していた。今も妄想に囚われることがあるが、それはただの妄想であり現実に起こっているわけではなく 、ただ置いておけばいいといった対処の仕方をとるようになっている。」 
といったお話がありました。

インターネットより引用

 1年後には車(黄色、軽自動車、箱型、50万ぐらい)を購入していると楽しそうに話していたМさん。Мさんは、幼少期や思春期に周囲から受けた心の傷があってもしっかりと自分と向き合い、人が本来持っている「成長したい」「充実感を感じたい」「自分の夢を実現したい」等の自己実現傾向を発揮しました。

 Мさんは、「人間が完璧でないことを知ったのは親のおかげです。そしてすべての経験が自分のためになっていると思っています。」とおっしゃっていました。Мさんのこれまでの辛かった経験は決して無駄だったのではなく、Мさんの血となり肉となって今後の生活に生かされていくことでしょう。そして、ご家族に対しても感謝の気持ちを持ち続けているМさん。私は、「Мさんはとても素敵な人」だと思いました。

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