発達障害が疑われる症状に化学物質過敏症を併発(その2)(6/30)

小学校に通い始めると頭痛や胸苦しさが悪化

 その後も、薬の種類によって化学物質過敏症が出ることがあったため、4歳のときに専門医に診断書を書いてもらい、処方薬にも気をつけるようになりました。

 りんちゃんは、2歳半健診で、発達障害の疑いも指摘されていました。当時、言葉の遅れや斜視があり、幼稚園に上がっても集団生活を嫌がって、お遊戯など、周りの子どもと同じ行動ができない傾向があり、発達障害のチェックリストの項目に当てはまるといわれたのです。

 一度に複数の指示をされると理解しにくく、突発的な行動や、些細なことでキレる振る舞いも頻繁に見られました。しかし、お母さんは、これらは化学物質過敏症によるものと認識し、発達障害にかかわる受診はせずに過ごしていました。

「当時、発達障害や化学物質過敏症の情報を集めていたので、まず、化学物質を避けることを最優先させなくてはと思いました」とお母さん。化学物質過敏症の子どもについては、ちょっとした刺激で興奮しやすくなったり、粗暴な行動をとったりする事例が、アメリカで報告されており、発達障害と似た症状があるといわれています。

 実は、りんちゃんは生後10カ月のときに、新築の住宅に引っ越した経験がありました。お母さんによると、新築への引っ越し後まもなく、りんちゃんは顔じゅうに発疹が出たそうです。

 りんちゃんは、小学校に通い始めると、頭痛や胸苦しさを訴えることが多くなり、授業に集中しにくくなってきました。学校では「授業が嫌いだからだろう」「怠けているだけ」などといわれることもあり、りんちゃんにとってはつら状況でした。

 

 教科書などに使われているインクで目が痛くなったり、気分が悪くなったりすることもありました。プールの塩素に反応するので、プールにも入れません。授業中にぐあいが悪くなって保健室に行くと、今度は保健室の薬品のにおいに反応します。

 こうした事情から、登校を嫌がることもありました。お母さんは、りんちゃんの体調を注意深く見ながら、無理には登校させないようにしていました。

(つづく)

引用:発達障害にクスリはいらない 内山葉子・国光美佳著 マキノ出版

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