食を変えたら「イライラ指数」が下がって緩和に(その2)(6/26)

 食の取り組みでは、いろいろな方法を試した結果、料理によっては、だしやオリーブ油をたっぷりかけても、意外と恭吾くんが喜んで食べてくれるものがあることがわかってきました。「納豆や、ケチャップ味のメニューは、だしやオイルを多めにかけても大丈夫でした。また、カツ丼のカツとご飯の間に天然だしをかけると、味が変わらずに食べることができました」とお母さん。

 無理に食べさせても長続きせず、かえって食事そのものを嫌悪するようになってしまいますので、恭吾くんが食べられるものを利用して、少しでも目的に食材がとれるように工夫していきました。

食の力を実感してさらに工夫を重ねた 

 しかし、1か月ほど安定した状態が続いたころ、ふとお母さんの緊張の糸が切れ、3週間ほど食の取り組みを意識しない状態になったときがありました。

 すると、食の取り組みを中断して3日目くらいから、恭吾くんはまたイライラしたり、少しのことでキレたりして、「うるせー」などの暴言を吐くようになったのです。
 その恭吾くんの姿を見て、食との関係を痛感したお母さんは、食の取り組みを再開し、小魚や海藻、ナッツ類なども使い始めました。すると恭吾くんは再び穏やかさを取り戻し、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることも増えたのです。

 食の取り組みと連動して起こる、恭吾くんの感情のアップダウンをお母さんは次のように説明してくれました。

「食の取り組み前の怒り具合を『イライラ指数100』とすると、食の取り組みを始めてからは、たまにイライラしても最高『40』に収まっていたのが、中断していた間は『70』に戻ってしまいました。また、食を意識していくと、『40』に収まった感じです。これだけ変わるのですから、子どもにとっての食は、本当に重要なのですね」と、お母さんは、食の力を実感し、さらに工夫を重ねるようになりました。

(つづく)

引用:発達障害にクスリはいらない 内山葉子・国光美佳著 マキノ出版

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