「さま」と呼ばれるようになって(8/29)

 病院で「大西さま」と呼ばれ、インターネットで「大西様」と書かれ、テレビでは政治家から「国民の皆さま」と呼ばれ、最近いたるところで「さま」と言われるようになりました。

 特に病院で「大西さま」と呼ばれることに対して、最初はどうして「さま」と呼ぶのだろう?「さん」でいいのにと、思ったものでした。しかし、良しにつけ悪しきにつけ人間は慣れてしまう性質があります。慣れることを習慣になるというのでしょうが、これは人間ばかりではなくすべての動物に備わっている性質だと考えます。

 そして「さま」に慣れてしまった私は買い物の時「お客さん」と呼ばれ、一瞬「ムッ!」とした怒りの感情が湧き起ってきたことを覚えています。「さま」と呼ばれることが習慣化されることで、無意識のうちに自分は尊敬されるべき立場であり優れているのだという考えが根付いてしまったのではと思いました。

 尊敬や優れているといった意味での「さま」は使用する範囲が限られると思われるのですが、多用することにより私たちの意識に微妙な変化が出てきたのではないかと考えます。それは親愛の情を表す敬意より使用する範囲が限られている尊敬の方を求めたいといった考えへの変化です。そして、同じ敬称である「さん」に対する抵抗感が生まれたのではないでしょうか。

 私たちは今一度「さま」と「さん」の意味を問い直し、「さま」から「さん」へと意識して移行していくことで、親愛の情が更に生まれいろいろな場面での触れ合いが多くなっていくのではないかと思います。

 

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