「終末時計」の残り時間を発表する専門家=20日米イリノイ州のシカゴ大(米誌提供)
米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」は20日、人類への脅威を分析し、滅亡を午前0時に見立てた「終末時計」の残り時間を「100秒」と発表しました。1947年の創設以来の最短時間を3年続けているのです。
終末時計はノーベル賞受賞者ら科学や安全保障の専門家が世界情勢に基づき、人類滅亡までの残り時間を比喩的に決め、毎年発表しています。
残り「100秒」の理由
昨年のバイデン米政権発足後にロシアとの新戦略兵器削減条約(START)が延長され、米国が温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰したことなどが明るい動きと評価されました。
一方で、米ロや中国の極超音速ミサイル開発や北朝鮮の核開発に加え、各国の温暖化対策の不十分さなどを懸念材料としました。また、ネット上の誤情報により、2020年の米大統領選結果の正統性や新型コロナウイルス対策への疑念が広がったことで社会の分断が深まっていると指摘し、各国リーダーや市民に対し、解決に向けた協調を呼び掛けました。
核兵器の高度化や気候変動の進展に加え、米大統領選を巡る陰謀論などインターネットでの誤情報拡散もリスクに挙げ「世界は昨年より安全になってはいない」としたのです。
科学は本来、人類に役立つものでなければならない、と考えます。科学の進歩が人類を滅亡させてしまうことさえ可能になってきたことを考えると、本当に恐ろしさを感じます。私たち1人ひとりが、残り「100秒」の意味を十分に考える必要があるところまで、来ているように思います。