「オール1の落ちこぼれ、教師になる」の文庫本を使った道徳の授業(12/23)

宮本延春さんの授業を行ったきっかけ

宮本延春さん
<オール1の落ちこぼれ、教師になる>
(宮本延春著 角川文庫)

 教室に行けない数名の小学4年生から6年生の子どもたちに、道徳の授業を行いました。それは、ある男の子が、「ぼく、長い間教室に行っていない。だから勉強が全然分からないので、教室に行きづらい」と言っていたのがきっかけでした。そこで、宮本延春(みやもとまさはる)さんの「オール1の落ちこぼれ、教師になる」という文庫本(角川文庫)を使いました。
 道徳的な価値は、希望と勇気、努力と強い意志です。宮本延春さんのように希望や目標を持つと、勉強嫌いだった著者が「勉強したい」に変わったことを、子どもたちが知ることで、希望や目標を持つ大切さやすばらしさに気づいてほしいと願い、授業を行いました。

  実 際 の 授 業 の 内 容

 以下のように、ホワイトボードに宮本延春さんのポイントとなるできごとや状況を掲示しながら、話していきました。そして、場面ごとに質問や思ったことを聞いていきました。

【小学校から22歳まで】

 22歳までの宮本さんは、中学校を卒業してからも、無口で気の弱い性格のため、たくさんのいじめにあいました。不登校になったり自〇を考えたりしたこともありました。大きな夢や目標もなく貧しい暮らしの中、なんとか暮らしていました。中学生になって学校には居場所がなく、少林寺拳法を習う道場だけが自分の居場所となっていました。

 宮本さんは、本当に辛かったことでしょう、不登校になるのもよく分かります、勉強が分からなくて嫌いになったのもよく分かります、中学校卒業してもいじめにあって辛かったことでしょう、辛くても少林寺拳法をやってよかったと思います。宮本さんの大変な辛さを推し量ることができます。

【23歳の時】

 偶然、アルベルト・アインシュタインの相対性理論を分かりやすく解説したビデオに出遭い、感動した宮本さん。物理学を勉強したい、アインシュタインのようになりたい、といった目標が宮本さんの心から芽生えてきたのです。宮本さんはビデオを見てなぜ感動をしたのかは、自分ではよく分からないと、後にその時の気持ちを振り返っています。

 ウラシマ効果というのは本当なのかな、勉強が嫌いだったのにビデオを見て物理学を勉強したいと変わったのだからすごい、夢や目標を持ったからやる気が出た、ビデオを見ただけで考えが変わるのかな、宮本さんのすごさと、夢や目標を持つことの大切さに気づくことができます。また、夢を実現したことから、生きていればいつか良いことがあるということにも気づかされます。

【23歳から27歳まで】

 夢や目標を持ったけれども、宮本さんは、勉強を始めるか、やめるか、と人生の選択を感じます。この時、後悔だけはしたくない、と宮本さんは強く思います。その結果、夢や目標を実現していく道を選びました。そして、小学3年生のドリルからスタートし、空いている時間は勉強するという生活を通して、名古屋大学に合格したのでした。この時27歳でした。

 迷った時、宮本さんは後悔だけはしたくない、と強く思い猛勉強を続けることができました。よく諦めたら終わりだと言われるけれど諦めなくてよかった、自分で考えて小学校3年生のドリルからスタートしたんだ、と迷った時の対処の仕方や何をすればよいか主体的に行動していることに、気づかされます。

授業を通して子どもたちの思ったこと

宮本延春さんから学ぶ意義

 宮本さんの大学入学までの体験から、どんなに辛い生活でも居場所(少林寺拳法)を見つければ乗り越えられる、夢や目標を持つと人はすごい力(自分で何をすればよいか考えが浮かんでくる)を発揮する、人は生きていればきっと良いことがある、迷った時にはどう考えればよいか(後悔だけはしたくない)、等が学ぶことができると思いました。そして、宮本さんの発揮した力は人間であれば誰でも持っている素晴らしい力だと思っています。

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