「走って勝ちたいんだ!!」ケニア初の金メダルを獲得したキプチョゲ選手のコーチングをしたルー・タイス(1/4)

写真出典:「アファメーション」
ルー・タイス著 フォレスト出版

 アファメーションを発見したコーチングの元祖ルー・タイスはキプチョゲ・ケイノというケニア出身の中距離ランナーから相談を受けた時のことです。キプチョゲ選手は、メキシコオリンピック出場を目指していたのですが、レースの最終400mでいつも激痛を感じることに悩んでいました。その苦しみを克服するための心理学的訓練法はないか、といった相談だったのです。

「レースのそのポイントに差しかかったとき、何を考える?」
ルーは尋ねました。
「あと400mも走らなければならない、と考えます」
キプチョゲは「しなければならない」を基準に考えることで、自ら痛みの原因をつくりだしているとルーは考え、こう言いました。
「解決策はあるよ。最終ラップに入って、最後の400mを走らなければ
ならないとわかったら、そこで止まる。走るのをやめるんだ。そして、そこで止まってトラックの内側に座り込むのさ」
「そんなのは、馬鹿げています。止まったら、レースに負けてしまいます」
「そうだよ。でも、少なくとも君の肺は苦しくなくなる」
キプチョゲは、怒ったみたいでした。
「ぼくが何のために走っていると思っているんですか?オリンピックで勝てたら、牛がもらえるからです。ぼくの国では、それでずいぶん金持ちになれんです。家族は、ぼくをアメリカの大学に送るために、自分たちの生活を犠牲にしてきた。だから、家族のためにも、国のためにも、金メダルを獲りたいんです」
「じゃあ、黙って走ったらどうなんだ?君は走る必要はない。でも、走ることを選んだ。私に、なぜ走りたいかも話した。それは君自身の考えだ。本当は無理して走る必要はないし、レースを走りきる必要もない。いつだって止まることができるんだ」
「ぼくは、走って勝ちたいんだ
「じゃあ、そのことに気持ちを集中しろ。『したい』『選ぶ』『好む』を忘れずに練習しなさい」

 ルーの言葉に従った彼は、1500mケニア初の金メダルを獲得、病気を  おして出場した5000mでも銀メダルをとりました。

キプチョゲ・ケイノ選手
金 1968  1500m
金 1972 3000m障害
銀 1968 5000m
銀 1972 1500m 
<Wikipediaより引用>

 ルー・タイスは、上手にキプチョゲ選手に途中で止める選択ができることを知らせながら、走る理由を引き出しています。そして、いつだって止まることできるといった選択もできると比較させることにより、「走って勝ちたいんだ」と、キプチョゲ選手が「走って勝ちたい」と強い気持ちを抱いて「走る」選択をすることができたのではないかと思いました。
そして、ルー・タイスは、したい、選ぶ、好むを忘れずに練習しなさいと言っています。3つの重要なキーワードを示し練習に集中させる工夫がされています。

<AFFIRMATION「言葉」があなたの人生を決める 苫米地英人著 フォレスト出版 より引用>

月ごとの投稿
脳科学コーチング