カウンセリングの新しい療法、ACT(アクト)の考え方を生かして(その3)(4/18)

ネガティブに考えてしまうのは普通のこと(後編)

 ACTが、人がネガティブに考えてしまうのは普通のことと考えている理由は以下の通りです。

 人のマインド(私たちに自然と聞こえてくる私たちの心の声)はネガティブな考え方をするように進化してきました。私たちの遠い祖先は、常に危険と隣り合わせの世界で暮らしていました。その当時、鋭い牙をもった巨大な動物が、周りをうろついていました。

絶滅したサーベルタイガー

 その当時、マインドはいつも危険がないか警戒し、自分を傷つけたり自分の害になったりしそうなものを先読みする必要がありました。「気をつけろ。あの木の陰にサーベルタイガーがいるかもしれない。洞窟の中にクマがいるかもしれない。向こうに見えるのは仲間か?敵か?原始人がこの仕事をうまくこなせなかったら、すぐに死んでしまいます。

 この考えは現代の私たちにも受け継がれているので、私たちのマインドも「自己防衛マシーン」になっているのです。この機械は、物事が悪い方へ進まないように絶えず私たちに警告します。「太るよ」「試験で失敗するかも」「彼女に拒絶されるかも」。これが普通です。どの人のマインドも、このようにして警告してきます。マインドはネガティブに考えるように進化してきたのです。マインドはただ、自分を守って生き延びるという一番大切なことをしようとしているだけです。ACTは、このようにして人は生き延びるためにネガティブに考えてしまうことが普通のことと説明しています。

参考文献:よくわかるACT 著/ラス・ハリス 星和書店

 ACTの他にも他の学説はどう説明しているのかを知ることは、より信頼性が高まるのではないかと考え、次回は脳科学の面からお伝えしたいと思います。

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