カウンセリングの新しい療法、ACT(アクト)の考え方を生かして(その2)(4/16)

ネガティブに考えてしまうのは普通のこと(前編)

 4月7日に非常事態宣言が発令されて1週間が経ちました。まだ感染する人が増えています。テレビ、ラジオ、ネットの報道は新型コロナウィルス感染がたいへん多いです。

 報道内容から「不安」「恐怖」の感情がどんどん湧き起ってきます。不安だから新しい情報はどうなっているのか、また見たくなるの繰り返しではないでしょうか。そこで、不安、恐怖の感情が増幅されていきます。今は多くの方が、常に不安や恐怖を抱いた状態になってしまっているのではないでしょうか。
 
 神経学者のアントニオ・ダマシオは、「人間は考える機械として感じるのではない。感じる機械として考えるのだ。」と述べています。つまり感情は、周囲や自分自身に対する感じ方を形成し、意思決定に直接影響を及ぼすのです。
 
 新型コロナウィルス感染拡大の状況において、私たちはかかりたくない(生きたい)ために、「不安」や「恐怖」の感情を形成します。そして、そこから考えが導き出されます。
【自分自身に対して】
・外に出るのを我慢して、なるべく家にいる。
・外から帰ったら必ず手洗い、うがいをしっかりする。
・自分は若い、感染しても軽症ですむから外出してもいい
・トイレットペーパー、みんな買っているから自分も買おう。
・不安を消すために、お酒を飲む。ゲームをする。ウォーキングやジョギングをする。等。
【他者に対して】
・なんでお前の親がかかるんだ。近くに来るな。
・かかったやつの名前を公表しろ。そいつの家を爆破してやる。
・かかったやつはおかしいと思った時、もっと迷惑をかけないように行動しておけばよかったんだ。
・今こそ、情報を共有し助け合ってこの難局を乗り越えよう。
等。

 自分自身対しては自分を守ろうとし、他者に対しては攻撃的になりがちになってしまいます。このような考えは、人間であれば誰もが持つと思います。もちろん私も持ちます。人間だからです。

 後編は、ACTがなぜネガティブに考えてしまうのは普通のことと言っているのかをお伝えします。

 

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