近年、増え続けている「メンタルクリニック」。「精神科」という呼び名よりも敷居が低く、身近となったことにより、こころの悩みを気軽に相談できる印象を抱くかもしれません。そもそも、街中で見かける「メンタルクリニック」や「心療内科」は「精神科」とどう違うのでしょうか。
日本の医療では、麻酔科を除いて、医師が自由に分野を掲げることができる「自由標榜制」がとられています。病院のサイトなどでの説明をみると、「心療内科は、心理的な原因で生じた身体の不調をみる、精神科は心の病気を扱う」といった違いを説明していることもありますが、どちらを名乗るのかは、医師任せになっているのが現状です。
市民の人権擁護の会(CCHR)日本支部・支部長の小倉謙さんは、弁護士ドットコム(2021年10月16日 07時59分配信)のインタビューで、次のように答えています。
「メンタルクリニック」などの病院は、ニッセイ基礎研究所の資料(2018年)によると、主たる診療科を「精神科」または「心療内科」としている医師の数は1994年から年々増え続け、2016年時点で約1.5倍に増加しています。また、主たる診療科を「精神科」「心療内科」「神経科」とする一般診療所も1996年から増加し、2014年は約3倍近くになっています。
かつては、ネガティブなイメージもあった精神科医療ですが、近年は名称の変化やクリニックの増加によって身近なものとなりつつあります。そこでは、処方薬への依存が比較的身近な問題として指摘されていますが、そればかりではなく、中には犯罪行為に発展するようなケースもあると、小倉謙氏は言います。
スマホで調べると、「〇〇心療内科」「△△メンタルクリニック」「□□こころのクリニック」と標榜しているところが多かったです。学級崩壊やいじめ問題の対応等で精神的に参ってしまう教員がいましたが、何も知らなかった私は、精神科医に診てもらうことが教員のためになると思い込んでいました。残念ながら辞めていった教員もいました。
現在も、ネットなどでうつ病の症状を知らせ、該当する場合は「〇〇心療内科」「△△メンタルクリニック」「□□こころのクリニック」への受診を勧めている投稿をよく見かけます。気軽に受診できる雰囲気を上手に作り出しています。
確かに私たちには、気分がふさぎがち、やる気が出ない、眠れない、自信喪失、イライラして怒りっぽい、死にたくなる等の精神症状が現れることがあるでしょうが、それは、その方のこれまでの仕事や家族関係などの人間関係などによる強いストレス、偏った食事、運動不足等が原因であることが多いと思います。
症状と向き合い消そうとすると、受診から向精神薬処方のレールに乗ってしまう可能性が高くなります。そうではなく、症状の原因と向き合い原因を取り除く考えが重要であると思います。そこに、向精神薬を用いずに症状の改善が期待できます。
向精神薬には、自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性、依存性等の重要な副作用があるのです。そして、ひとたび服用すると何年、何十年と続けなければならない状況に追い込まれてしまう可能性が出てきます。
引用:弁護士ドットコム(2021年10月16日 07時59分配信)