不安や恐怖という感情は、私たちが生きていくためにとても必要な感情なのです。
私たちは不安をいろいろ感じます。将来、人間関係、病気、自然災害、金銭問題、仕事、孤独、自分自身、事故、冒険、死などなど、私たちは生きていく上で様々な場面で不安や恐怖などの感情が湧き起ってきます。
心理学では不安は対象を持たない漠然としたものであり、恐怖は対象を持っているものとして区別して考えますが、不安や恐怖を取り除こう(回避する)とするところに心理的に苦しむ可能性があるのです。心理的に苦しむ可能性があるということについては、後ほど触れたいと思います。
そもそも不安や恐怖をはじめ、私たち人間の持つすべてのネガティブな感情は、生き抜くために必要な感情だったのです。大昔、私たちの祖先は周りに祖先一人では歯が立たないどう猛な動物たちがたくさんいました。火山の爆発、大洪水等の自然災害もたくさんありました。もし祖先たちに不安や恐怖等の感情がなかったらどうなっていたでしょう。全然注意せず何も知らずにどう猛な動物に近づき襲われたり、火山活動に対して退避せず巻き込まれたりして、命を落としていたでしょう。
また、不安や恐怖を感じるために、祖先たちは協力してどう猛な動物に対峙したり、武器を発明したりして生き延びてきました。不安や恐怖などの感情は、祖先たちが生き抜くために必要だったのです。そして、現代の私たちに受け継がれてきているのです。
左(スマホでは上)のように火を消すことは可能ですが、私たちに受け継がれてきている不安や恐怖などの感情を消すことはできないのです。悲しいかな消そうとすればするほど増してきます。
私たちは、不安や恐怖などのネガティブな感情(ルームだより4月25日参照)は、私たちにとって生き抜くために必要な感情であったことを、まず認識することが大切であると考えます。そうすると自ずから、その感情に対してどう対処していくかが、考え出されていきます。
(つづく)