<発達障害の知識と対処法を学ぶ>より
脳梁(のうりょう)は、特に自閉症と関連が深いとされる場所です。男性の方がもともと小さいとされており、男性に自閉症が多いと原因の1つとされます。さらに、自閉症の子の母親の羊水からは高濃度のテストロゲン(男性ホルモンの一種)が多く検出されます。
母親が大きなストレスを受けると、テストロゲンが多く分泌され、羊水にも影響を与えると考えられています。テストロゲンの作用によって、母体は炎症やストレスをさらに制御しにくくなります。
テストロゲンの影響を受けやすい胎児
男児は、自分の体内でもテストロゲンを分泌しているため、母親のストレスによって上がるテストロゲンの影響を受けやすいとされています。胎児がおなかにいる時、母親が炎症を起こしていたら、胎児も羊水を介して炎症物質にふれ脳に慢性炎症を起こすリスクが高まります。まだ未熟な乳幼児は制御することができず、炎症が継続することになります。
一部では、発達障害の子どもは、1歳までの頭囲が平均よりも大きいという報告もあります。これは、脳が炎症を起こして腫れている可能性を示唆しています。
可塑性を持つ脳
ところが、ダメージを受けた脳は、形を変えて回復する可塑性を持っていると分かってきたのです。脳は何歳になっても新陳代謝をくり返し、成長を続けています。脳の老廃物を処理する経路も、近年見つかりました。
神経細胞や脳細胞の修復は実際に観察されています。行動面などの結果だけでなく、物理的に画像や映像で実証されています。原因をしっかり取り去って、再生するための栄養や原材料を取り入れ、ダメージを受けている経路に刺激を与えることによって、脳は回復することができるのです。
神経細胞や脳細胞の修復が実際に観察され、物理的に画像や映像で実証されているのですが、この修復の様子を見ることができたら、人間の回復力のすばらしさを、さらに実感できたことでしょう。 食事や炎症状態の改善を行い、心理療法や運動療法などでさらに心配な症状が改善されていくことは十分に可能だと考えます。 ADHD治療薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬(小児の自閉症スペクトラムの易刺激性を抑える薬を含む)、睡眠薬を処方されようとされるお医者さんにお願いします。伝えていない方は、ぜひ重要な基本的注意をご本人やご家族の方に、正確に伝えてほしいと思います。 |
「発達障害にクスリはいらない」内山葉子・国光美佳著 マキノ出版 より