心配な行動をとる子どもが増えてきたのは、なぜか?-原因に目を向ける大切さ-(6/13)


 4月6日のルームだよりで、私は、「20年ほど前から、『うまくコミュニケーションがとれない』『じっと座っていられない』『集中できない』『キレやすい』という子どもたちが急激に増えてきたことを実感しています。そして、それに伴い、騒ぐ子どもが1人いると他の子どもがつられて騒ぎ出す光景が見られるようになり、授業が成立しない『学級崩壊』という言葉も広まりました」と、お伝えしました。

 この時の私は、何とかして荒れている学級が静かに学習する学級になるようにと、そればかり考えていました。当時は発達障害と呼ばれた子どもたちの特性や対処方法ばかり勉強していました。特性や対処方法を中心に目を向けていて、本当の原因に目を向けていなかったのです。結果的に対処の仕方が難しくなかなか収まりませんでした。しかたなく怒鳴って静かにさせようとしたり、精神科や心療内科と連携し向精神薬を服用して静かになることを望んだりしていました。

 現在も多くの学校が精神科や心療内科につなげ、向精神薬を服用することが望ましいと考えていることでしょう。学校とすれば、子どもが静かにしてくれたらどんなに助かることか。これは、学校を親に置き換えると、それぞれの立場に共通しているところがあるのではないでしょうか。「静かに」してくれたらどんなにありがたいことか…ということではないでしょうか。薬を服用すれば一時的に改善されたように見えるかもしれません。しかし、このことが本当の意味で子どもと向き合っているのかといったら、疑問です。

 さて、現代の子どもたちの環境や食生活は、どうでしょうか。私の子どもの頃に比べ、身長が伸び脚も長くスタイルもよくなりました。それで健康的になったかといえば、そうではありません。幼稚園や小学校低学年でも、3分の1の子どもたちが運動や勉強の後に「疲れた」を連発します。十分な食べ物がなかった戦後世代の人は、学校から帰ると家の手伝いをし、暇を見つけては外で遊んでいました。それでも子どもが「疲れた」といっていた記憶はないと多くの人が語ります。

 夜遅くまでテレビを観たり、ゲームをやったりして、朝なかなか起きられず、朝食はパンを牛乳で流し込む、という現代っ子が多いかと思われます。家庭ではついつい子どもの好きなメニューや加工食品を中心にし、栄養バランスがとれていない食事になっていることが多いのではないでしょうか。また、電磁波や有害金属、化学物質なども私たちの周りにあふれています。最近では、これらの私たちを取り巻く環境や食生活の変化が、冒頭の子どもたちの症状と密接な関係があるとわかってきました。

 それでは、私たち大人は子どもの心配な症状が顕著に見られるようになった時、どうすればよいのでしょうか。私は次のように考えています。
①自分の子どもに対するこれまでの関わり方を振り返り、見直すべきところは見なす。
②子どもの食事の内容はどうだったかを振り返り、見直すべきところは見直す。
③規則正しい生活リズムが確立されていたかを振り返り、見直すべきところは見直す。
④電磁波や化学物質、有害物質などを極力避けるよう意識する。

 私たちは、原因としっかり向き合うことにより解決方法が自然と浮かんできます。私たちの脳には、考える力が備わっていますから。薬は最後の手段だと思います。

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