こんなに服用させてもよいのでしょうか(3/17)

 当ルームにも心配な行動をしてしまうお子さんが来室しています。保護者の方は当ルームのホームページをご覧になり来室される場合が多く、基本的に精神科や心療内科で注意欠如多動性障害(ADHD)と診断されて処方されるADHD剤や自閉症スペクトラム(ASD)と診断されて処方される抗精神病薬を飲ませたくない、といった考えをもっていらっしゃいます。

子どもにこんなにも服用されている向精神薬

向精神薬の市場推移(2007年~2024年)富士経済 
2016年版『医療用医薬品データブック』より

 精神科や心療内科で処方される薬は脳内のドーパミンなどの神経伝達物質を調整するものが多く脳に直接働きかけ、「劇薬指定」されています。服用すると、多動や易刺激性(キレる)などの症状は収まりますが、私は次のような問題を感じています。

①重篤な副作用が潜んでいる


 例えば、ASDと診断されて処方されることの多い統合失調症の薬エビリファイの主な副作用は、不眠、神経過敏、不安、傾眠、アカシジア(じっとしていることができない)、攻撃性、振戦(手足の震え)、流涎(よだれがでる)、体重増加が等が報告されています。そして、医師は、家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること、と取扱説明書に書かれていますが、ここまで説明する医師は少ないようです。 

②いつまで服用すればよいのか見通しが持てない

 一度服用したら何年も服用しているお子さんもいます。考えてみれば薬で抑えているのですから、薬を止めたらまた症状が現れる可能性が出てきます。ですから延々と飲み続けなければならないことも考えられます。また脳に働きかけるため、止めた時に副作用と同じような離脱症状が現れ苦しむ可能性が出てきます。取扱説明書には、漫然と長期にわたり投与しないことと書かれています。

③学校が保護者に薬の服用を強く勧める

 最近は、集団生活や学習の指導が難しいという理由で、学校が保護者に精神科や心療内科への受診を勧めるケースが多いです。私は医師でもない教師が教師の主観で勧めるのは疑問に思っています。

 医師でさえ客観的事実に基づかないチェックリストで診断するため、医師の主観が入り医師によって見立てが異なる可能性があります。当ルームに来室されているお子さんの保護者の方も教師に勧められています。学校の強い勧めに困っている保護者の方もいらっしゃいます。私もかつて学校と同じような考えを持っていました。みんなと同じように学校生活を送ってほしいとの願いは分からないでもないですが、薬の体に与える影響を考えると極力避けた方がよい、と現在は思っています。

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