発達障害の本質は「代謝障害」(その4)(9/17)

からだの中で回っている大切な「歯車」 

 前回の精神症状とともに現れる身体症状は、下図のメチレーション回路と深くかかわっていると内山医師は言います。この回路は体の中で起こっている大切な代謝経路の1つです。代謝とは体内で1つのものがほかの物質に変わったり分裂して増えたり、いらないものが処理されたりすることです。

 下図のメチレーション回路は一見複雑(実際にはもっともっと複雑)で分かりにくいのですが、一番上にある葉酸と下の方にある脳内で情報のやり取りに使われる神経伝達物質のセロトニンドーパミンノルアドレナリンアドレナリンに注目してください。
 メチレーション回路の出発点になるのは葉酸です。葉酸は名前のとおり緑の葉野菜に含まれています。メチレーション回路は代謝を支える1つの反応系です。次々に物質が変化して円を描くようにつながり、歯車が回るような反応系なので「回路」と呼ばれています。

 左図(スマホでは上)の歯車がスムーズに回ることにより、葉酸から神経伝達質が作られていきます。他に遺伝子や体の材料を作る回路、神経の働きに必要な物質を作る回路、排泄の回路、有害物質を排除する回路など、いくつもの重要な「回路」がかみ合っています。 

 上図から葉野菜に多く含まれている葉酸から神経伝達物質が作られていることが分かります。ところが、発達障害とされる子どもたちはこの重要な働きをする歯車がうまく回っていない場合が多いことが分かってきているのです。

参考文献:「発達障害にクスリはいらない」著者:内山葉子・国光美佳 マキノ出版

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