自己診断チェックテストで巧みに誘導(8/26)

 DSM-5は、アメリカの精神障害の診断と統計マニュアル第5版です。これは、国際的な診断マニュアルとして使われており、日本全国の精神科や心療内科も診断の基準として使われています。

 DSM-5のうつ病の診断項目として、①抑うつ気分、②興味・喜びの喪失、③食事や体重の変化、④睡眠、⑤活動状態、⑥疲労感、⑦罪悪感、⑧集中力、⑨自殺念慮・自殺企図があげられています。

 上記の診断項目をもとに、うつ病の自己診断チェックテストがいろいろと作成されています。例えば、①気分がふさぎこんでしまう、②楽しみがない、③食欲がないまたは食べ過ぎてしまう、③眠れない、④動作が遅くなる、⑤疲れやすい、⑥罪の意識がある、⑦なかなか集中できない、⑧死にたいと思うことがある、などの設問が考えられます。

 私はネットで、うつ病自己診断チェックテストを見てみました。内容を見てみると、何か強い精神的ストレス(人間関係、恋愛、離婚、経済的不安)があった時、そのことが頭から離れなくなってしまうと、気分がふさぎこんだり、やる気が出なくなったり、眠れなくなったり、自分はだめだと思ったりすることは、誰にでもあることだと思いました。

 特に強い精神的ストレスがかかっているときに実施すると、うつ病の傾向が高いと判定されてしまうと思いました。そして、うつ病の傾向が高いと判定されると、「医師に相談してみましょう」と受診を誘導するメッセージが表示されます。その時の精神的な症状だけでチェックされ、その精神症状に至った背景は一切考慮されていません。

 自己診断チェックテストは、ネット上で行うことができ、うつ病傾向があると診断されると、そのまま自己診断チェックテストを行った精神科や心療内科に繋がっている場合が多いです。私も実施してみましたが、これではちょっと強い精神的ストレスがかかっていると、すぐにうつ病傾向があると、診断されてしまうと思いました。

 そして、何も知らないと、自分はうつ病かもしれないと思い込みます。そして、早く精神科や心療内科にいかないと、と考え受診します。案の定、「うつ病ですね」と診断され、抗うつ剤や睡眠薬などを飲むことになってしまう可能性が高くなります。なぜなら、自己診断チェックで「うつ病傾向」があると診断されているのですから、精神科医も「うつ病」と診断しやすくなると考えられます。

 ストレス社会といわれる現在、精神的不調が見られるのは、少なくないと思います。精神的不調は、向精神薬で一時的に改善が見られても、また症状が重くなったり副作用に悩まされたりして、ずっと長く飲み続けている人も多いのです。多くの精神科や心療内科は、受診を巧みに誘導しています。

 人間関係によるストレス、物理的ストレス、科学的ストレス、生物学的ストレスと、精神症状の原因は考えられます。しかし、ほとんどの精神症状の場合、生活環境の見直し(家庭、仕事、学校など)、食事の見直し、適度な運動、人との語らい(精神科に行った方がいいというアドバイスには耳を傾けない)で改善可能だと考えます。

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