現在、ADHD剤として使われている向精神薬は、以下の4剤です。現在、薬を使っているのであればもちろんのこと、使っていない場合でもクスリのメカニズムと弊害を知っておくことは大切なことだと考えます。
なぜなら、始める時に、「副作用、依存性、やめることの大変さ、やめる時の離脱症状、やめた後の一過性の悪化やフラッシュバック(クスリによる幻覚などの症状が、やめてしばらくしてからもささいなきっかけで再燃すること)、具体的にどういう薬剤か」などの説明がほとんどなされていないからです。私の知っている範囲内でも、医師の説明はされていませんでした。
【コンサータ(メチルフェニデート)】
ドーパミンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害するクスリです。再取り込みを阻害するとシナプスの隙間に、一時的にドーパミンやノルアドレナリンが増えます。それによって症状の改善を図ろうとするものです。しかし、神経伝達物質は、一時的に増えたように見えるだけで、実際の量が増えているわけではありません。増えたように見せかけているだけです。
【ストラテラ(アトモキセチン)】
ノルアドレナリンの再取り込みを阻害するクスリです。コンサータ(メチルフェニデート)と同じしくみで、シナプスの隙間にあるノルアドレナリンが、一時的に増えたようにします。近年、この薬の使用量が急激に増加しています。
【インチュニブ(グアンファシン)】
コンサータ、ストラテラとは異なり、神経伝達物質を受け取る側のシナプスを刺激し、その働きを調節することで、神経伝達物質の働きを高めようとするクスリです。しかし、これも神経伝達物質そのものを増やすわけではありません。
【ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル)】
最近、追加認証されたクスリです。ドーパミンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害するのに加えて、この2つの神経伝達物質の分泌促進作用もあるとされるクスリです。この働きは中枢刺激剤ともいわれ、「覚醒剤」の成分と同じような作用です。メチレーション回路(ルームだより9/17参照)の材料を供給したり、その回り方を促進したりしているわけではないので、根本的な作用とはいえません。むしろ、神経伝達物質の枯渇(使い尽くされる)につながる恐れが大きくなります。
ADHD治療薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬(小児の自閉症スペクトラムの易刺激性を抑える薬を含む)、睡眠薬を処方されようとされるお医者さんにお願いします。伝えていない方は、ぜひ重要な基本的注意をご本人やご家族の方に、正確に伝えてほしいと思います。 |
「発達障害にクスリはいらない」内山葉子・国光美佳著 マキノ出版 より