クスリ(コンサータ)による子どもの変化に恐怖を感じて、家族で食の改善に取り組み、ADHDの症状を克服した事例です。
「このクスリは続けて飲ませられない」と感じた
保育園の年中組のころ、感情のままに動き、よく行方不明になっていたという誠くん、保育園の先生から「集団生活に適応しにくいところがある」といわれ、病院へ行くとADHD(注意欠如・多動性障害)と診断されました。
初診で主治医から、「小学校に上がるまでに、クスリを飲めるようにしておきましょう」と勧められ、年長組のときに向精神薬のメチルフェニデート(コンサータ)を処方されました。
ところが錠剤を飲み込むことに抵抗があり、なかなか服用できずに、口に入れてもすぐ出してしまうことをくり返しました。そのなかで、たまたまクスリを飲み込めた日、お母さんは誠くんの変わりように驚きます。
「まるで人が変わるスイッチが入ったかのように、元気がなくなり、静かにシクシク泣いて縮こまっているのです。うちの子じゃないみたいで、恐怖感に襲われました。『これは続けて飲ませるわけにはいかない』と思ったのです。
すぐに主治医に相談し、服用をやめたいと伝えたところ、主治医からは「クスリが飲めないなら、病院に来てもできることはありません」との返事。お母さんは、医療から見放されたような心細い気持ちになったといいます。
心配な状況が続くなか、誠くんは小学校へ上がって普通学級に在籍し、週に一度だけ通級教室(特別支援学級)に通うようになりました。普通学級に在籍していたものの、静止していられず、順番を待てなかったり、屋外活動で集団から飛び出したりすることも多い状況でした。
小学校2年のとき、通級教室の先生からの提案で、お母さんが内山医師に連絡をし、食の取り組みを始めることになったのです。 (つづく)
引用:発達障害にクスリはいらない 内山葉子・国光美佳著 マキノ出版