ご遺族Kさんの訴え(精神医療の被害に遭わないために)(その3)(11/19)

 娘は、先生の言うとおりにすれば、状況が好転して仕事が見つかって上昇していけると、本気で信じていました。独り暮らしを始めたころのノートには、入りたい企業への志望動機や将来の夢を真剣に書き込んでいました。あの遺書とも取れるメッセージの乱れた文字からは想像もつかないくらいの達筆で、何枚も何枚も練習していました。どうか皆さん、今一度、二人の無念に思いを馳せてください。そうです、今他の誰よりも「そんな奴だったのか!」と大声で泣き叫びたいのは、27歳と31歳で夭折した二人です。

 遠方より取材に来てくださったジャーナリストの方から、「娘さんの命をリスペクトに代えることができるのはお母さんだけです」と言われた意味を最近少しずつ理解しはじめています。二人の命は、その後起きたであろう未曾有の被害を食い止めました。精神科医によるハラスメント、そして投薬による被害から一人でも多くを救うために今一度立ち上がります。

亡くなった女性
出典:「もう一回やり直したい」

 娘の写真を公開することで、一人でも多くの人に何の本だろうと手に取ってほしい。精神医療とまったく関わりなく楽しく明るく日々を暮らす娘と同世代のあなたたちにぜひ読んでほしいと思いました。もしかしたらこれから先、人に裏切られたり別れが訪れたりして、つらく悲しく苦しい日々がやってくるかもしれない。でもそれは決して病気でない気がすむまで話を聞いてくれる誰かを見つけてください決して薬が問題を解決するわけではないことを、この本を読んで知ってください。おしゃれが大好きでアリアナの曲を聴くことが一番の楽しみだった一人の女の子が、そこに生きていたことを忘れないでください。

 そしていつの日か、精神医療が真の意味で法の下に戻り、その被害に遭った人が安心して駆け込める仕組みが成り立ったとき、「そういえば昔、鹿児島で娘さんを亡くしたお母さんたちが声をあげたよね」と思い出してもらえたらと心から願います。

 公私ともに大きな心の支えとなった九州厚生局麻薬取締部大渕朗裕課長(当時)様をはじめ関係者の皆さまへ深謝の意を表し、遺族の言葉とします。

 2019年9月30日

Y・K

引用:「もう一回やり直したい」-精神科医に心身を支配され自死した女性の叫び- 米田倫康著(萬書房)        

 

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