カウンセリングの新しい療法、ACT(アクト)の考え方を生かして(その8)(4/27)

感情も思考と同じように受け容れ、張り合おうとせずに、ただそこに置いておくようにしたい。

 前回で、私たちの感情はネガティブな感情の言葉の方が多いとお伝えしましたが、ACTの目的は、感情を変化させたり弱めさせたりすることではないのです。張り合おうとせずに、ただそこに置いておくようにしたいのです。なぜならば、ただそこに置いておくようにしておけば、感情コントロールのために使わずにすんだ時間やエネルギーを、価値に沿った行動のために充てられるからです。

 感情を受け容れるには、まずその存在に目を向ける必要があります。好奇心旺盛な科学者のように感情を観察します。例えば最も激しい感情が「怒り」だったとします。その怒りの感情を感じてみる、怒りの感情が体のどの部分で一番強く感じるか、絵を描くとしたらどんな形になるか、等、感情をじっくり観察することから始めます。

 次に感情に息を吹き込む、感情を広げる、感情をそのままにしておく、感情をモノ化する、感情を普通なことだと捉える、自分を慈しむ、意識(アウェアネス)を広げるエクササイズをして、感情と張り合おうとせずに受け容れるスペースを作り、ただそこに置いておくようにします。意識してエクササイズを繰り返していくことにより、感情をそのままに受け容れるようになっていきます。

 ネガティブな感情を持つことは自然なこと、人間なら当たり前のこと、と考えることができると、そうした感情をより受け容れやすくなります。なぜならば、前回でもお伝えしたように、人の感情はポジティブな感情よりネガティブな感情の方がたいへん多いからです。

 繰り返しますが、なぜ感情を受け容れ、ただそこに置いておくようにしておくのか、それは感情コントロールのために使わずにすんだ時間やエネルギーを、価値に沿った行動のために充てられるからです。感情を受け容れスペースを作りそのままに置いておくことを、感情のアクセプタンスと言います。

 これまで8回にわたって、ACTについてお伝えしてきました。ACTのすべてをお伝えすることはできませんが、少しでも興味を持っていただければ幸いです。次回は、これまでお伝えできなかったACTを簡潔にお知らせしたいと思います。

参考文献:よくわかるACT 著/ラス・ハリス 星和書店

月ごとの投稿
心理療法の活用