米田倫康氏
発達障害バブルの真相(萬書房)の著者である米田倫康氏は、その著書で、「最近目立つようになったのは、学校から受診を勧められたという子どもや若者のケースです。おそらく先生方は、よかれと思って受診を勧めたのでしょう。まさか、つないだ先の専門家によって被害に遭うなどと、考えもしなかったでしょう。しかし、それが現実に起きているのです」と、述べています。
日々親から発達相談を受けている、都内のある発達支援の専門家も、あまりにも簡単に学校から子どもたちが精神医療につながれている現状を憂い、しばしば服薬の強制などが教育現場で起きていることに胸を痛めているそうです。
私も教員時代に、精神医療の専門家に診てもらった方が、症状が改善してその子のためにも周りの子どもたちのためにもなると思っていました。しかし、実際には薬でおとなしくさせていただけなのです。向精神薬に脳や肝臓を傷める強い副作用があるということを知らずに。本当に反省しきりです。
私は現在においても、「学校から早く精神科や心療内科で診てもらってほしいと言われています」と保護者から聞いたり、「教室でじっとできない子に対して、医療と連携しようと思っています」と学校の先生から聞いたりしています。このような話を聞くたびに、私は、「精神医療は、本当に巧みな誘導に成功している。学校には早く気づいてほしい」と思ってしまいます。
教員のメンタルヘルスの面においても、教員にチェックリストを実施し、思わしくない結果が出ると精神科や心療内科を受診するレールが敷かれているのです。学校は精神医療に対して、何の疑いも持っていません。子どもの心配な行動も、「静かに勉強してほしい」「ケンカしないでほしい」と考え、同様に精神医療と連携して受診を勧めようとします。
私は、学校は発達障害の症状以外の知識(発達障害という言葉が生まれた背景、子どもの心配な行動を取る原因、向精神薬の副作用や有効性など)を知る必要があるように思っています。そして、子どもの心配な行動が見られた場合、学校は保護者と十分に話し合い、考えられる原因を取り除くように共通理解をしていく努力をする必要があるように思います。
また、教師は心配な行動を取る子に対してどう関わればよいのか、周りの子どもたちはどう関わればよいのか、どんな学級を目指すのか、学校体制で研究・研修を積み重ねていくことだと思います。薬は最後の手段だと考えます。