東日本大震災で被災された方々は、たいへん辛い経験をされたと思います。しかし、その辛さをばねにしてこられました。家族や友人、地域の方々、そしてボランティアの方々の支えのもと、辛さをばねに変えたのだと思います。
考えてみれば、人はみな、トラウマを抱えているのではないでしょうか。辛い体験は私にもあります。PTSD(心的外傷後ストレス症候群)という病名があります。戦争体験、被災、犯罪被害、いじめ経験、パワハラ、DV(家庭内暴力)、虐待、他にもたくさん辛い体験はあると思います。
そのような時、辛い経験から浮かんでくる考えや気持ちにどう対処し、どう行動するかで、後の人生が大きく変わってくるように思います。
①辛い経験をしたところから離れ、しばらく静養する
②信頼できる人に話し、聴いてもらう
③多くの人と語らったり協力し合ったりする
④歌を歌ったり運動したりする
⑤辛い考えや気持ちの対処の仕方を身に付け、自分の価値を明確にして必要なことをする
⑥旅行をする
⑦お酒を飲む
⑧ギャンブルをする
⑨精神科や心療内科に受診する 等々
上記の行動を例えば①→②→③→⑥→⑤のように、組み合わせて改善していくことも可能です。大切なことは辛い考えや気持ちにしっかりと向き合い、人に聴いてもらい、精神的に落ち着いてから自分の人生の価値を明確にして、行動していくようにすることだと考えます。一人で何とかしようとするのではなく、多くの人たちの力を借りることも必要であると柔軟に考えるとよいのではないでしょうか。
辛さを忘れるためにお酒を飲んだり ギャンブルをしたりするのは、辛さを忘れるのが目的ですから依存に陥りやすく、気をつけたいと思います。お酒やギャンブルは楽しむ程度にしておくのがよいと思います。
精神科や心療内科の受診は、辛さを消すために向精神薬が処方される可能性があります。一時的には消えるかもしれませんが、効果が切れればまた辛さが出てきます。そして、薬によって辛さが消えた経験により、また薬を求めるようになり、アルコール依存と同じように薬物依存に陥ってしまうことも十分考えられます。効いた経験が依存の始まりになる危険性があります。薬は否定しませんが、本当にどうしようもなく辛い時以外は、使用しない方がよいと考えます。薬はあくまでも対症療法であり、根本的な改善にはなりません。