こだわりや不安感が強く抗精神病薬を開始した男の子でしたが(3/1)

 葉子クリニックの医院長 内山葉子医師は、著書「発達障害にクスリはいらない」で以下のように述べています。

 健ちゃんは言葉の遅れが見られ、2歳半のときに広汎性発達障害と診断されました。

 診断後、母子通園の療育施設に通い、言葉は出始めましたが、幼稚園の集団行動になじめず、触覚過敏や偏食、こだわり、お母さんと離れることへの不安感が強く見られました。味覚も過敏で、昼食時間に座っていることができなかったため、クッキータイプの栄養補助食品を、毎日2本持参させていました。

 こうした状況が続いたため、年長組の8月から、抗精神病薬のリスペリドン(リスパダール、1日1回)が処方されるようになりました。小学校入学前に受けた発達検査(WISC検査。総合的な能力を示す全IQの平均値は90から109。言語理解、知覚推理など能力別の数値も出る)の数値は69でした。基本的には70を切ると支援学級が勧められますが、70から79は境界なので、話し合って普通学級となったそうです。

 小学校に上がっても、食べられるものが限られており、給食が食べられないので、お弁当を持参していました。おにぎり、フライドポテト、から揚げ、プチトマト、卵焼き、ハンバーグなどです。

 学習面では、1年生の頃はついていけましたが、2年生になると、黒板の文字をノートに書き写すペースについていけなくなりました。授業中の立ち歩きが目立ち始め、何も書かないノートを家に持ち帰ることが続きました。

 小学校2年生の時点で夜尿が続いており、不安感が強く、外出先でお母さんの姿が見えないと泣いたり、触覚の過敏さから、公園などで地面の草が足に当たると嫌がって泣き出したりしていました。

 2年生の1学期に、主治医から「このまま普通学級で過ごすのは難しいでしょう。夏休み明けに再び発達検査を行い、その数値によっては支援学級へ移ることを考えてください」といわれたのです。

 当時、健ちゃんが通っていた学校には、支援学級がなかったため、支援学級に移るとなれば転校させなければなりません。そんな時、お母さんが内山葉子医師の著書である「食べなきゃ、危険!」を読み、食の取り組みを始めることになったのです。

(つづく)

「発達障害にクスリはいらない」内山葉子・国光美佳著(マキノ出版)より

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