発達障害の本質は「代謝障害」(その2)(9/13)

安易に診断されている発達障害

 下のグラフは、7月3日のルームだよりで紹介したADHD治療剤が処方された金額の変化を表したものです。2005年に発達障害者支援法が施行されてから、ぐんぐん右肩上がりに伸びています。これは何を意味するのでしょうか。


向精神薬の市場推移(2007年~2024年)富士経済
2016年版『医療用医薬品データブック』より

 2012年の文部科学省の調査では、「普通学級に通う小学生の6.5%が発達障害と思われる」との結果が発表されました。また、浜松医科大学の調査では静岡、県内で2004年から2014年の10年間に発達障害の通級指導教室は10倍以上、そこに通う子どもの人数は87名から1069名に増えたとしています。これらの統計調査を基に、現在、日本における発達障害の傾向は10人に1人ともいわれています。

 この背景には、医療機関での診断が安易に行われているようになっていることが挙げられます。発達障害で見られる症状を並べたチェックリストが作成してあり、その項目に一定以上当てはまる子は、すべて発達障害とするような診断法が行われています。

 初めての病院(場所)で、初めて会う白衣を着た先生にじっと見られれば、目も合わさずに返事をしなかったり、泣き叫んだりする子どももいることでしょう。現在の診断法では、それだけで「社交性がない」と判断されることもあります。

 すべての施設に当てはまるわけではないですが、診断した時の状況などは加味しないで、1回のみの面談やチェックなど、医師の主観が大きく関わる形で診断されるケースが見られます。医療に送る側の学校の教師も、どんな状態なら「落ち着きがない」と判断するのか、その基準も極めて主観的で、ばらつきが大きいのが現状です。

 最近は自閉症を「スペクトラム」という連続性を持ったものととらえるようになり、正常との間に明確な境目がなくなってきました。そのため少し個性が強い程度で診断を下されることがあります。

 新薬の販売に伴って、製薬会社から医師への宣伝・広告や、マスコミへの特集推進などの力が働き、チェックリストが普及しているという背景もあります。ADHDは2013年より、さらに成人への診断が緩和され診断が流行となりました。2005年の施行(発達障害者支援法)の時には対象が子どもだったのが、2013年には成人への診断がされるようになってしまいました。

 チェックリストで現れる回数が「ときどき」または「頻繁」と答えたらADHDと診断される可能性が高くなります。現れる回数が同じでも人によっては、「めったにない」「時々」「頻繁」などとばらつきがあるでしょう。ばらつきがあるにもかかわらず時々以上に〇をつけたら診断を下される可能性が高くなります。

 そして、一度診断が下されると、自分は発達障害なんだと衝撃を受け自分自身にレッテルを貼り一生気にしたり苦しんだりする可能性が出てきます。周囲も気にするようになる可能性が高くなります。時には差別や偏見が生まれるかもしれません。そして、たいへん副作用の強い薬物療法が冒頭のグラフからも分かるように非常に多く行われるようになってくるのです。

  参考文献:「発達障害にクスリはいらない」著者:内山葉子・国光美佳 マキノ出版
       

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