前回(11/8)お伝えしました書籍「もう一回やり直したい」で、最愛の娘さんを失ったご遺族のKさんが、2度と娘さんのような人を出したくないという思いを込めて、精神医療の無力さや害を広く皆さんに知っていただくために、本書の最後に思いを書かれています。著者の米田氏は、「Kさんの行動は、泣き寝入りするしか選択肢がなかったこの世界で、希望の光となる前例を示し、多くの人々を勇気づけてきました」と述べています。Kさんの思いを原文のまま、3回にわたって紹介します。被害をなくすためにも、シェアをしていただければ幸いです。
「この医者、詐欺罪は執行猶予が付いたけど、どうせ医師免許はなくなるんでしょ? 」
精神科医 山口 龍郎被告
写真出典:「アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ<書籍紹介>『もう一回やり直したい–精神科医に心身を支配され自死した女性の叫び』
(米田倫康著 萬書房)」
第1審の有罪判決のあと、鹿児島在住の被害者でもなく遺族でもない方々の多くから、電話でメールでこのありがたい言葉をいただきました。鹿児島では南日本新聞を筆頭にたび重るニュース報道のお陰で、それほどまでにこの精神科医・山口龍郎の所業は周知されていました。
そして現状の法律ではその願いは無理であることを伝えたとき、「なんで?」「ありえないんだけど?」「間違ってる!」と、皆さん一様に嘆かれていました。今、本文を読まれてここに辿り着かれた方々も同じ思いであることを願います。
今後、日本の精神医療の現状と問題点について、国内のみならず、海外へも発信していく決意です。この精神科医に翻弄され自ら一線を越えてしまった命を、私たち母親二人は決して無駄死にで終わらせるつもりはありません。
今一番悔いていることは、自分がいかに無知であったかということです。向精神薬?当時その言葉自体知るはずもなく、仮にあの時説明を受けたとしても、風邪をひいた時に処方される抗生物質のようなもの?くらいの知識でした。本文にもありますが、私自身がそれを服用したことによって散々だったのは一種のアレルギーだったのだろうと。
娘が服用してからどんどん状態が悪くなるのは「病気のせい」だと思い込み、むしろ「ちゃんと薬飲んでる?」と釘を刺す、今思えばとんでもない言葉をかけていました。山口医師の予告どおり2週間で動けなくなった娘を目の当たりにして、知恵ある医師だと当初はすっかり騙されていました。処方されていた薬の副作用に、幻覚妄想やまさかの自殺念慮のおそれがあったなど知る由もありませんでした。
山口医師は、昼夜逆転した生活と食事が摂れない娘に対して、「昼夜逆転しても仕方ないですよ。具合が悪いのだから。食事は何でもかまいません。アイスでもチョコでも好きなものを」と言い切りました。そして私はそれを信じた馬鹿な母親でした。
メンタルが不調なときこそ生活習慣と食生活を見直していくべき、などということは情報を探れば簡単にできます。医者が言うのだから通院しているのだからだと、何の疑いもなく多くをやりすごしたことへの自責の念が、このさき消えることはないでしょう。
私自身も娘が亡くなってから不眠が続き、睡眠薬のマイスリーを就寝前に服用していたことがあります。その間、夜中にお菓子を食べた形跡や、夫の枕元に立っていたということがありました。自分ではまったく覚えていないのです。そんな中でも夫との会話の受け答えはしていたそうです。恐ろしくもこれが現実でした。娘が投薬でコントロールされていたことを知り、そして何よりも米田さんに向精神薬の恐ろしさを教えてもらいやめることができました。
(つづく)
引用:「もう一回やり直したい」-精神科医に心身を支配され自死した女性の叫び- 米田倫康著(萬書房)