ストラテラは現在でもADHDと診断されたら処方される向精神薬です。このストラテラに対して、各国政府機関は以下のように警告しています。
【2005年】
2月…イギリス医薬品庁は、ストラテラが肝障害を引き起こす危険性について通知しました。
8月…ヨーロッパ医薬品審査庁医薬品委員会は、パキシルなどの抗うつ薬やADHD薬のストラテラが自殺未遂、自殺念慮、攻撃性、敵意、反抗的行動、怒りを引き起こすとして、子どもの抗うつ薬服用に対して、それまでで最も強い警告を発しました。
9月…FDAは、ストラテラに対し、服用している子どもや若者に自殺念慮の危険性が増大するという枠組み警告表示などの改訂を、イーライリリー社に指示しました。
9月…カナダ保健省は、ストラテラが自傷行為のリスクを含む行動と感情の変化を引き起こす可能性について医療機関に報告しました。
【2006年】
2月…FDA諮問委員会は、ADHDに対する中枢神経興奮剤について、心臓発作や脳梗塞、突然死を引き起こす可能性があるとして、パッケージに今まで最も強い「ブラックボックス」警告を記載するよう要請しました。
2月…イギリス医薬品庁は、ストラテラが、発作や鼓動間隔を長くする潜在的な危険性と関係があることを報告しました。また、ストラテラをプロザックやパキシルのような抗うつ薬と併用した場合には、心臓のトラブルを引き起こす可能性にも警告しました。
5月…カナダ保健省は、ADHDの治療薬として処方されたすべての治療薬(ストラテラを含む)に対して、まれに突然死を含む心臓病の危険性があるという新たな警告を発しました。この公的な注意書きでは、中枢神経興奮剤が心拍数と血圧を上げ、その結果「心不全や心臓発作、突然死」を引き起こす可能性について警告されています。
10月…オーストラリア保健省薬品・医薬品行政局は、ADHDの治療薬であるストラテラが攻撃性を引き起こしたという苦情を受けて、製造元の情報により強い警告を追加するように命じました。
「精神科は今日も、やりたい放題」内海聡著(PHP文庫)より
(つづく)