精神医療は効果があるのか? -財務省からの問題提起-  (その1)(5/11)

 いよいよ財務省も精神医療に対して無視できなくなってきました。4月15日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会において、社会保障に関して財務省側から問題提起されました。その中に精神医療に関するものがありました。
 これから3回にわたって、財務省の精神医療に関する問題提起をお伝えしたいと思います。仮に、精神医療が効果を上げているのでしたら、これからお伝えすることは問題として提起されていないと思います。財務省は、精神医療が成果を出していないどころか国の財政にも大きな負担となっていることを指摘しています。 

 以下は、財政制度等審議会財政制度分科会において提出された資料です。

 
 財務省は上記の資料で、
「 特に、精神病床が我が国の病床数を押し上げているが、精神医療について、病床数の多さや平均在院日数の長さが医療の質ひいては患者のQOLに結びついていない可能性があるほか、自殺率の高さなどの課題もある」と、問題提起しています。
 

 人口千人あたりの精神病床数において、日本はイタリアの約29倍、平均在院日数は約20倍となっています。イタリアには、精神科病院廃絶の法律ができています。1980年以降には、精神科病院の新設、既存の精神科病院への新規入院・再入院を禁止しました。精神科病院は廃止されているため、精神疾患を持つ方で入院を要する場合は公立の総合病院に付設された病棟に入院できます。基本的には患者の意思に基づいた自由入院が基本です。

 下のグラフからも分かるように、先進国の15歳から34歳までの死亡率において、日本は自殺が死因のトップで17.8%となっています。精神病床数の少ないイタリアでは4.8%です。これから希望を持って社会をけん引していこうとする若い方々の自殺率がトップなのです。 

財政制度分科会(令和3年4月15日開催)資料一覧 : 財務省
財政制度分科会(令和3年4月15日開催)資料一覧
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