精神医療は効果があるのか? -財務省からの問題提起-  (その2)(5/13)

 財務省は、「生活保護受給者の国保等への加入③」で以下のように問題提起しています。
 

「 生活保護受給者に対する医療扶助費を疾病分類別にみると、『精神・行動の障害』によるものが入院の約26%を占め、入院・入院外の合計でも約19%を占めており、医療保険と比較して顕著な違いが見られる」(左のグラフ参照) 医療扶助というのは、健康保険の場合、病院を受診したら医療費の3割を請求されますが、生活保護受給者の場合、医療費の全額が医療扶助から支給されます。つまり無料で医療を受けることができます。

「 精神病床入院中の生活保護受給者数の都道府県間の地域差は約7倍であり、地域差を説明する要因として、精神疾患の受診者数や独居率などよりも、人口当たりの精神病床数が最も強く関係し、精神病床数が多いほど入院中の生活保護受給者が多いという調査結果がある」

「 入院期間別にみると、1年以上の長期入院が7割近くと、精神病床の平均在院日数(265.8日)をはるかに上回る実態があり、1年以上5年未満の長期入院患者数の都道府県間の地域差は約8倍の差があった」

そして、財務省は、「 こうした生活保護受給者の長期入院の実態は、その適正化には医療提供体制面からの取組が不可欠であることを示している」と述べています。

 私は、精神病床数の確保や入院の措置等、精神医療を実施している精神科医の判断が大きく影響しているのではないかと考えます。そして、国の財政の負担や精神病床数の多さの割に精神科医療の効果が上がっていないことから、イタリアのように日本の現在の実態を大幅に見直す必要があるように思います。

財政制度分科会(令和3年4月15日開催)資料一覧 : 財務省
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