精神科医療の病院やクリニックでは、処方薬への依存が身近な問題として指摘されていますが、中にも犯罪行為に発展するようなケースもあります、と小倉謙氏は弁護士ドットコムのインタビューで答えています。
5年間で性暴力を含めた「虐待の疑い」は72件起きています。いったい、どのようなトラブルが起きているのでしょうか。
2020年7月には、報徳会宇都宮病院(栃木県宇都宮市)で入院患者に不適切な医療行為がおこなわれているとして、元嘱託医が行政指導を求める申出書を厚生労働省と県、市に提出したことが報じられました。
また、同じ年に「神出病院」(兵庫県神戸市)で元看護師など6人が入院患者を虐待したとして、準強制わいせつや暴行、監禁などで起訴され、有罪判決を受けています。元看護師など6人は、患者に無理やり性的な行為をさせたり、トイレで水をかけたりしたほか、虐待の動画を撮影してLINEで共有するなどしていたとされています。
事件を受けて、厚生労働省は自治体を対象に調査を実施しました。厚生労働省の担当者によると、精神科の医療機関で患者への虐待疑いの事例が2015〜2019年度の5年間で72件あったといいます。しかし、小倉氏は「これらの虐待は通報で発覚したわけではなく、患者、家族、元スタッフに聞き取りをしてわかったこと。氷山の一角に過ぎない」と指摘しています。
小倉謙氏
(2021年9月8日/東京都内/弁護士ドットコムより)
小倉氏は更に「一般企業や介護施設で虐待が起きれば、すぐに明るみになり、大々的に報道される可能性があります。しかし、医療の中でおこなわれると、表に出にくく、うやむやにされてしまいがちです。実際に、私のもとにも『精神科で(医師などに)殴られた』『罵声を浴びせられた』などの相談が届くことがあります」と言っています。
私はこの記事を読んで、最初は信じられないと思いました。心の病を治療している精神科病院やクリニックでは、患者を大切にしていると当然のように考えていました。なぜなら医療は患者を治療するためのものだからです。国家試験に合格した医師や看護師が、犯罪を犯すことがあると考えたこともありませんでした。
それほど、医師は社会的地位や信用度が高い職業なのです。それをよいことに、精神医療で人権無視に当たることが起こっているのですから、残念でなりません。報道機関は、精神医療になびくのではなく、その本質を見抜き、正確に私たち国民に知らせてほしいと思います。そうでなければ、このような問題は無くならないでしょう。
引用:弁護士ドットコム(2021年10月16日 07時59分配信)