4年生になって服用していた抗精神病薬も、当初の量から3分の2、3分の1へと減っていきました。3学期には、ほぼゼロになり主治医から、「診察の間隔を開けても大丈夫」といわれたのです。5年生になって漢字テストで100点を取り、学校生活でも自信が持てるようになりました。
5月の運動会では、難しい組体操(現在では危険ということで実施する学校は少なくなっています)もこなしました。
お母さん自身も、健ちゃんの食の取り組みをきっかけに、様々な本を読んで気づいたことがありました。自分自身も子ども時代からパンやパスタが好きでよく食べていたこと、健ちゃんの食の取り組みを始めるまでは、家庭で使うだしも、化学調味料を使っていたことを思い出したのです。
ミネラル補給と並行して、しだいにパンや牛乳を避けていくうち、お母さんの花粉症の症状も軽減していきました。妊娠中には貧血ぎみで鉄剤を服用していたそうですが、以前に比べるとお母さんの心身の疲労も軽くなっていったのです。
健ちゃんは、普通学級に在籍し続け、2020年2月現在、高校2年生です。お母さんは、「受験勉強も経験し、今は高校生活を楽しんでいます。普通学級に在籍し続けるなかで、勉強や課題についていくために家庭学習にも力を入れてきましたが、食の取り組みを続けなかったら、今のこの姿はありえませんでした」と振り返ります。「家庭で取り組めることがあることを、たくさんのかたに知ってほしいと思います」と語っています。
私は食に対する取り組みが、根本的に精神症状や身体症状を改善させていくことができ、その気になれば誰でもできることだと思いました。 私たちは精神や身体に何か困ったことがあったら、すぐに病院に行き薬を処方してもらう傾向がありますが、ほとんどの薬は対症療法であるということを認識したいと思います。 私自身、1年前からダイエットのために、食事を見直してきました。その結果、予期せぬことだったのですが、約20年間悩まされ続けてきた花粉症が、昨年からずいぶん軽減されてきていることを実感しています。 食事に注意することが病気を予防する最善の策であり、日ごろの食生活も医療に通じるということなのでしょう。 |
「発達障害にクスリはいらない」内山葉子・国光美佳著(マキノ出版)より